【五十市】設立から12年『一般財団法人 森山福祉財団』
平成24(2012)年に森山福祉財団を設立して12年。これまでの道のりや、現在の取り組みなどを森山 篤志理事長に伺いました。
自分の原点
森山理事長:「20代前半のころ、今日食べるご飯も無い。寝るところも無い。いま使えるお金が欲しいという生活を送っていた時期がありました。自分も本当に苦労した経験があるので、目の前で生活に困っている人の気持ちがよくわかるんです。若ければ、お金の苦労を乗り越えられるかもしれませんが、年を取ってからの苦労は希望を失ってしまうこともある。患者さんのなかには、医療だけではなく介護の問題を抱えている人もいます。でも介護施設に入所するためには、年金だけでは足りない。そのような人たちと接する機会が多くなってきたときに、自分に何ができるかを考えました。60歳を迎えたとき、自分の原点を思い出して、いま関わっている方がたの役に立てればと思い、福祉財団を設立する決意をしました。」
必要な事業を、少しずつ補ってきた歴史
森山理事長:「現在、森山ウエルライフグループは【医療】【介護】【住まい】【食事】【福祉財団】の5本柱で事業を行っていますが、初めは【医療】のみでした。目の前の困りごとを抱える方がたの役に立てればと思い、事業を少しずつ補ってきました。国の制度などに精通しているわけではありませんので、初めから地域包括ケアシステムなどを参考にしていたわけではなく、直面した課題を解決するために事業を展開してきた結果、今の5つの事業に行き着きました。」
福祉財団の3つの取り組み
福祉財団の事業内容は、主に3つあります。
1,生活困窮な高齢者もしくは障がい者への扶助
高齢者住宅への入居を希望され、その必要性や緊急性がありながらも、経済的理由で諦めていた方を対象とした支援。
2,生活困窮な高齢者もしくは障がい者への相談助言
自立した生活が送れるよう、専門家や公的機関、地域の相談支援センターや福祉事務所と連携を取り、相談助言を行う支援。
3,地域の相互扶助活動への支援
高齢者、障がい者に限らず、生活困窮者を対象とした生活自立支援。
特に、[3,地域の相互扶助活動への支援]においては、都城市社会福祉協議会の生活自立相談センターと連携しながら、既存の制度だけでは対応できない方がたへの支援を行っています。
12年前と比べて変わったこと
森山理事長:「財団で支援している方がたには、さまざまな背景があります。ご家族の金銭的な支援の有無や、親類や地域からも完全に孤立してしまっている場合など、それぞれ支援の内容が変わります。以前は支援する要件を厳格に適用していたため、支援に至らないケースもありましたが、最近は臨機応変に対応して、ひとりでも多くの方を支援できるように心がけています。」
新しい取り組みとして、五十市地区の学習支援との関わり
森山理事長:「平成28(2016)年から五十市地区社会福祉協議会と協働して、五十市中学校の3年生を対象とした学習支援教室『いそいちStudyRoom土曜の朝』を開講しています。当初は私どもグループの施設を会場として提供していましたが、コロナ感染症の影響で場所を中学校の教室で実施することとなりました。学校を会場として実施することによって中学校の先生がたへ事業を知っていただく良い機会となりました。ここで学んだ子どもたちが無事高校受験に合格したことを聞くと嬉しい限りです。
また、今年度から今町小学校で実施される『今町っ子まなび館』、五十市小学校で実施される『五小っ子StudyRoom』でも活動費の支援をさせていただきました。中学生の時に学習支援に参加した子が高校生となり、小学校の学習支援に教える側(ボランティア)として参加するという嬉しい循環も生まれているそうです。今後も地域全体で子どもを育てる環境づくりの支援ができればと考えています。」
森山理事長の夢
森山理事長:「五十市地区全体に貢献するとか、大きなことは考えていないんです。またそんな力もありません。もし、病院を受診してくださった方が生活面の困りごと抱えていらしたら、その都度1人ひとりに対応していくだけです。私自身も70歳を超えましたので、この先ずっと続けることはできません。これまで以上に地域や関係機関との連携を深めて、私たちにできることを少しでも長く続けていきたいと考えています。」
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